2020.02.22| 水

水泳で呼吸器を鍛え、風邪知らず!



冬こそ、水泳で鍛えよう!【第2回】


水の中は、水圧がかかっています。水圧による負荷で鍛錬されるのが呼吸器。

呼吸器を鍛えるのに有効な “水泳”をすることは、風邪の予防につながります。

また、有酸素運動である水泳は、持続的に運動できる、スタミナのある体づくりに効果的です。

(記事監修/国士舘大学教授 須藤明治)



水泳は呼吸器も強くする



水中では、立っているだけでも水圧を受けます。体に水圧がかかると肺の下にある横隔膜が押し上げられ、肺の容積は小さくなります。

ただでさえ水圧によって、一回の呼吸で肺に取り入れられる酸素量が減少しているところに、全身運動である水泳をするとなると、体は通常よりかなり多くの酸素を欲します。

ですから、息継ぎをする時に、できるだけたくさんの息を吸い込もうとして胸式呼吸になるのは体の自然な働きなのです。


胸式呼吸とは、横隔膜の位置はそのままに肺が“横”に向かって広がっていく呼吸法です。

「腹式呼吸は知っているけれど、胸式呼吸は初めて耳にした」という方がいるかもしれません。

息を吸うとき内臓を圧迫させつつ横隔膜を下げ、肺が“下”に向かって広がっていく呼吸法が腹式呼吸となります。


両者の違いは、肺の広がり方にあります。

空気をたくさん吸い込む深呼吸も胸式呼吸に含まれます。副交感神経が優位になってリラックスできる腹式呼吸と異なり、適度な緊張感があるのも特徴です。


胸式呼吸は、酸素供給量が多いだけではありません。呼吸時に使う胸の周囲にある呼吸筋も強化され、呼吸機能が向上します。

そういった効果が実証され、ぜんそくの呼吸機能の改善のために水泳が用いられるのは広く知られています。


呼吸が苦しい原因は水圧ですから、プールから出ると呼吸が楽になります。

例えば登山家は、酸素が薄い高地でも体が十分に動くように平地で足に重りをつけて訓練したりしますが、それと同じ原理です。重りをとったら平地で歩くのが楽に感じるのは、負荷がかかる分、鍛えられているからです。


第1回で説明した心臓と同様、負荷がかかることで鍛えられるのは、呼吸器も同じです。

水泳だけでなく、マラソンも呼吸器への負荷が高いスポーツです。

ただ、この二つのスポーツ選手の体つきは全く異なります。水泳選手の胸板が厚く肩幅が広いのは、呼吸器が鍛えられ、それに伴い胸と肩の筋肉が発達するからだと考えられます。

それほどに水泳は、呼吸器を鍛えるのです。



呼吸器を強くして、風邪知らず



子どもは大人と違って、ウイルスに対する免疫力が十分に備わっておらず、風邪を引きやすいので、呼吸器を強化することは風邪の予防にも役立ちます。

風邪のウイルスは、鼻や口から侵入します。水泳では、鼻や口を含む呼吸器系を鍛えますし、水でウイルスが洗い流されるので、風邪を引きにくくなるのです。


ただ、冬の水泳で気をつけたいのが、髪を濡れたままにしておかないことです。髪の毛が濡れたままだと体を冷やしかねません。


また、全身運動によって体に熱が発生するため、プールから上がったとたん、汗が吹き出すこともあります。汗は蒸発する時に体から熱を奪いますから、水泳後は汗をふきとり体温を下げないように気をつけてあげてください



全身運動、有酸素運動の代表! 水泳



筋肉は、その働きによって遅筋と速筋に分かれます。水泳を筆頭にマラソン、縄跳び、サイクリングといった持久力にかかわるのが遅筋。

速筋は、短距離走、筋トレやバッティングなど瞬発力が必要とされる運動で活躍します。


エネルギー源として体に蓄えられた脂肪を燃焼する有酸素運動では、遅筋を使います。

20分ほど全身運動をすると効率よく脂肪が燃焼し始めるので、継続的に運動すると脂肪が燃焼しやすくなり、ダイエット効果が高まるといわれます。


それだけでなく有酸素運動は、毛細血管を増やすこともわかっています。全血管の9割以上を占める毛細血管は体中に張り巡らされています。体の隅々に必要な酸素や栄養を届け、不要となった二酸化炭素や老廃物を回収するのが毛細血管の役割です。

毛細血管が増えれば、それだけ血流が増し、酸素の供給量も増加します


比較的長い時間にわたって体を動かし続ける、水泳のようなスポーツには、大量の酸素が必要です。

酸素を全身に運ぶには、酸素を取り込む肺だけでなく、取り込んだ酸素を血液に乗せて送り出す心臓の働きも重要な鍵を握っています。血液を送り出す時に使う心筋は、有酸素運動で鍛えることができます。

ですから有酸素運動は、脂肪燃焼のほかにも、息があがりにくく持続的に運動できる、スタミナのある体づくりを促進します



体を動かし免疫力を上げる



水泳などといった全身運動は、免疫力を高めるといわれています。

免疫力は、端的にいうと「病気から体を守る抵抗力」です。

免疫力は健康でいるために欠かせないものですが、「こうすれば必ず免疫力が上がる」という方法は残念ながら思い浮かびません。


日頃から運動や外遊びなどで体に負荷をかけて鍛えたり、体に蓄えている脂肪や糖質をエネルギーとして燃焼させ代謝をよくすることなどで、体の免疫機能は高まっていきます


「運動は、健康でいるための特効薬」などという人がいますが、体をよく動かして、体が本来もつ機能をいつでも十分に発揮できるようにさせておく。このことが免疫力を上げることに通じるのです。

それが、病気から体を守る最も効果的な方法であると考えます。





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