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水を通してココロ・カラダぐんぐん!お母さんたちの子育てを応援するマガジン

2018.12.14 | 育児

お母さまたちの子育てお悩み相談室【第1回】

目指したい“完璧な子育て”、どうしたらできるの?


できることなら「完璧な子育て」をしたいと思うお母さまは少なくないようです。

「『私が頑張って育てないと』と思う傾向が強くなっているのが気になる」と、発達心理学の専門家として子育て支援の現場でも活躍する、恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんは言います。

では、どんな気持ちで子育てに向かえばいいのでしょうか。大日向雅美さんが回答を寄せてくださいました。


Q.母として自分の子育てがこの子の将来を決めてしまうと思うと、少し怖くなることがあります。どうしたら気持ちが軽くなりますか?


かつて地域の人々に温かく見守られながら子どもたちが育っていた時代がありました。近所の人が皆で子どもたちを見守り、子どもたちは自由にのびのびと行動していましたので、“放牧”状態とでもいえばいいでしょうか。

ところが現代は、まるでカプセルのなかにいるかのような状態で家の中でお母さま一人が子どもと向き合い、奮闘している例が多く見られます。お母さまの肩に子育てのすべてがかかっていると感じられてしまうのも無理からぬことです。


子どもは親の力だけで育つわけではないのです。私はずっと仕事をしてきましたから、2人の娘は保育園に通っていましたし、両親やご近所の方、時にはベビーシッターさんのサポートも欠かせませんでした。夫と共に精いっぱい愛したつもりですが、自分たちだけで娘たちの世話をすべてすることは不可能でした。いろいろな方のお力をお借りすることについて、申し訳なさや親としてふがいなさを感じたことも少なくありませんでした。


しかし、今は、多くの方に協力していただいたことがかえってよかったと心底思えるのです。私たち夫婦が娘たちに与えられなかったものを、娘たちは周りの方々から贈られ、育てていただいたと気づきました。それはとても得難いことで感謝の気持ちでいっぱいです。

それに、子どもと共に過ごす喜び、楽しさをお母さま一人で独占するのももったいないと思います。お父さまはもちろん、多くの人と子育ての醍醐味(だいごみ)を共有してください。


Q.一人でいると「しっかり育てないと」というプレッシャーに押しつぶされそうになることがあります。


完璧な子育てを目指すのはひとまず脇においておきましょう。子育ての責任をお母さまが一身に受けなければなどと気負わないことが大切です。

困った時には「助けてください」と言って誰かを上手に頼ることが大切です。地域の子育て支援センターや子育てをサポートするNPOが主催している場などに、気軽に出かけてみてはいかがでしょうか。


ワンオペ育児で疲れがピークに達した時、初めての子育てでどうしたらいいのかわからない時など、スタッフが気軽に相談に乗ってくれますし、同じ立場のお母さまたちと話をするだけでもストレスが軽減されていくはずです。


私は15年前からNPO活動の一環として「子育て・家族支援者」を養成しています。この方々は地域の子どもたち祖父母になったつもりで活動してくださっていて、本当の祖父母とは違ったよさを発揮くれています。こんなふうに地域の皆で、老若男女共同参画で子どもを育てる仕組みを地域に整えています。各地でもこうした活動が広がっていますので、情報を集めて、ぜひ上手に利用してください。


Q.社会性は非常に大事だと自分自身の経験からも痛感するのですが、家の中で育てるには限界があるように感じます。多くの人と交流をねらって習い事などをさせたほうがいいでしょうか?


例えば、スイミングスクールの場合は、体力づくりや泳げるようになること、タイムを縮めることなどの目標をもって、通い始められたかと思います。ですが、スポーツクラブといった習い事に通うことは、子どもの能力アップ以上に得られるものがあるのではないでしょうか。

水と戯れる楽しさを知る、指導員の先生と触れ合う、「あんなにかっこよく泳げるなんて、素敵! 自分もあぁなりたいな」と同年齢だからこそお友だちをモデルとして認めあえるなど、スイミングスクールに限らず習い事には、主な目標以外にもすばらしい “おまけ”が散らばっています。


多くの人と触れ合い、さまざまなことに気づき、感動し、たくさんの体験を重ねることが、子どもの成長には不可欠です。こればかりはお母さまやお父さまだけが頑張っても、なかなか十分に与えられるものではありません。こういったことを習い事で学ぶ子どももきっとたくさんいることでしょう。


子どもの習い事はお母さまご自身にも他のお母さまとの交流が生まれるといったさらなる“おまけ”がもたらされ、子育てのプレッシャーを和らげてくれることもあるかもしれません。

お母さま一人がなにもかも抱え込まず、可能な限りいろいろな場を利用して子育てを皆で分かち合ってください。そうすることで、子どもの世界だけでなく、お母さまの世界も気持ちも広がるはずです。


次回以降は、イトマンスイミングスクールが行った育児に関するアンケート (2017年実施)の中で特に多かった育児に関する悩みについてお答えしていきます。お楽しみに!


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