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2019年9月21日

幼児期の運動能力強化に力を発揮する水泳!

幼児期の運動能力強化に力を発揮する水泳!

 

幼児期にスポーツをすることは、体力増強以外にも、努力する姿勢、礼儀、集中力などが養われるといわれますが、「水泳には、プラスαの大きな効用がある」と国士舘大学の須藤明治教授は語ります。

今回は、水中での運動が子どもたちにどのように役立つか説明していきます。

 

Q.「水泳をするなら幼児期から10歳の間は外せない」とおっしゃっていますね。

 

テニスの錦織圭選手、平昌オリンピック6位の女子フィギュアスケートの坂本花織選手など、世界で活躍するアスリートが幼い頃に水泳をしていたと聞きます。

 

私自身は、陸上の練習を全くしていなかったにもかかわらず小学校6年生の時に区の陸上大会で100mに優勝したことがあります。

これは長年、選手・コーチとして水泳に携わってきた経験を踏まえると、5歳から水泳に打ち込み、どんなスポーツにも応用できる基礎的な運動能力が鍛えられた結果だと考えています。

 

Q.それはどんな力ですか。

 

ひとつには、空間認知能力があげられます。

 

水泳は、水中という“無重力”下で行う数少ないスポーツです。

体は、真っすぐな状態で浮いており、両手と両足を使って前に進んでいきます。水中には体を支えるものが何もないので、バランスをとるために、体の軸や手足がどんな状況にあるか頭の中で立体的にイメージする空間認知能力をフル回転させる必要があります。

水泳は空間認知能力を鍛えるのに、大変役立ちます。

 

Q.水泳は、体の軸や手や足がどんな状況か立体的なイメージづくりを可能にするということでしたが、それは、陸上でも重要なのでしょうか。

 

スポーツの勝者は、自分の思い通りのパフォーマンスもしくは、それに近い動きをしているはずなのです。

逆に言えば、自分の思っている通りに動けないと劣勢に立ってしまいます。

水泳で空間認知能力が鍛えられると、他のスポーツでも十分に応用が利くのです。

 

 

 

Q.水泳で最初に学ぶバタ足は、すべての運動機能の基礎をつくるものだと聞いたことがあります。

 

バタ足は、単純で簡単な運動だと考えている方が多いのではないでしょうか。

この左右対称のバランスのとれた繰り返し運動は、歩く、スキップ、自転車に乗るなど、日常生活で頻繁に使われます。こういった左右対称の運動の代表が水泳ですが、左右対称の運動も訓練なしには正しく身につきません。

 

実際、スキップが苦手な子どもが見受けられます。リズムをとって繰り返す動作は、5歳から10歳までの基礎づくりが大切になります。自転車もこの時期に乗れるようになる人がほとんどのようです。

 

 

 

Q.ゴールデンエイジまでは水泳をして、特定のスポーツに絞って鍛えるのは、その後がいいと提言なさっていますね。

 

ゴールデンエイジとは、10歳ごろから始まる、人生の中で最も運動神経が発達する時期(参照:「運動好きを育むのに大切なゴールデンエイジとは?」)です。

 

一般的に5〜9歳でスポーツ全般に共通する基本的スキルを学び、ゴールデンエイジの始まる10歳ごろから思春期には専門的なスキルを磨いたり、持久的能力を引き出すような練習にあてるのがよいとされています。

 

Q.それは、なぜですか。

 

水泳以外の多くのスポーツは、上達する過程で、肩やひじなど特定の部分の筋肉や関節を集中的に使う傾向にあります。筋肉や関節の成長過程にある10歳前に関節や筋肉を使いすぎると、どうしてもけがの心配がでてきます。

 

その点、水泳は浮力を生かして体を動かすので関節や筋肉への負荷が少ないだけでなく、全身運動で体全体を鍛えられるという長所があります。

 

野球が大好きなら、10歳ごろまでは、週に1、2度程度野球をして、他にスイミングスクールでクロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの4泳法をマスターして、イトマンスイミングスクールでいうならば1級を取得した後、野球に集中するのが、いいのではないでしょうか。

 

Q.では、水泳が適しているのは、いくつなのでしょうか。

 

基礎的な水泳技術を覚え、徐々に距離を延ばし4泳法すべてで100m程度泳げることを目標に掲げるなら、3〜11歳が適しており、中でも6〜10歳の4年間は泳ぐ力の伸びが大きい時期となります。水泳は奥の深いスポーツですからゴールデンエイジ以降は、速さを競うことにチャレンジするのも目標設定のひとつです。