2017.12.01 | 育児
体をつくる! 心を豊かにする! 食事が育む親子のコミュニケーション 連載スタート!
育ち盛りのお子さまにとって食事は、体づくりだけでなく、心を豊かにするためにも重要です。食卓で家族と楽しい時間を過ごしながら、旬のものを食べて季節を感じたり、冬至に食べるカボチャやお正月のおせち料理やお雑煮といった行事食を通して日本文化を体験していくことは、お子さまの食を楽しむ力や五感を育てることに結びつくのです。
食育を通してさまざまなことを学ぶ全5回シリーズのスタートです。1回目は、食育の大切さをお伝えします。
【第1回】食育の基本は「バランスのよい献立」と、「笑顔」が並ぶ食卓です!
バランスよく食べるための献立のコツは?
「なんでも食べられる子になってほしい」「うちの子、野菜が足りているのかしら」とお子さまの食事に関する悩みは絶えません。そんな悩みを食育からの観点から解決していきましょう。
「食育」の基本は、さまざまな食品に親しみを持たせて食べられるようにしていくことです。「わかっていても、うまく献立が立てられないし、好き嫌いがあるから偏りがち」という声を多く耳にします。でも、コツさえつかんでしまえば、必要な栄養をバランスよくとることができるようになります。
コツの1つ目は、「一汁三菜」。忙しい日の夕食はパスタひと皿になってしまうかもしれませんが、主食(白飯、具入りご飯など)、汁物(みそ汁、すまし汁など)、主菜(卵、肉、魚、大豆製品の焼き物、揚げ物、蒸し物、煮物、刺身など)、副菜(芋、野菜、海藻、きのこなどの煮物、和え物、蒸し物、焼き物など)、副々菜(豆、野菜などの煮物、酢の物など)を基本とすると、幅広く栄養を整えることができます。
配分にも気をつけるとバランスのよさがさらにアップします。主食は全体の50%、副菜と副々菜は合わせて30%、主菜は20%が目安になります。
肉・魚・卵・大豆をまんべんなく
2つめのコツは、主菜。主菜とはたんぱく質、脂質、カルシウム、鉄などのミネラルやビタミンの供給源となるものです。主菜である肉・魚・卵・大豆製品は、栄養素がそれぞれ異なり特徴があるので、バランスよくとることが理想です。
お子さんの好きな食べ物だけに偏らないようにするためには、一日にとる主菜を朝食、昼食、夕食に分けた「主菜献立表」を頭に描くことです。例えば、ある日の朝食はパンにハムサラダ、昼食はカレーライス、夕食はしょうが焼きだったとします。この日は3食とも肉料理になってしまっています。それを朝食のサラダは卵サラダに、カレーは肉をシーフードに替え、副菜に冷ややっこを加えるだけで食べる経験や食の幅が広がります。
メニューは1週間でも考えます。「昨日の夕食はハンバーグ」、「今日の夜は鶏肉入りシチュー」では肉料理が続きます。基本ルールは、肉料理の次の日は魚を食べること。一日単位、一週間単位の考え方を身につけるとバランスのよい組み合わせができあがってきます。魚だけでなく、大豆製品も不足しがちですから意識的にとり入れてみてください。
お手伝いから始まる「食育」
家庭での「食育」のポイントは、お子さまが「食べること」に興味を持つように工夫すること。一番の近道は、お手伝いをしてもらうことです。
お子さまの興味や年齢に合わせ、できることをしてもらいましょう。お買い物の際に食材を選んでもらう、インゲンの筋とりをしてもらう、手元の安全を確認しつつ一緒にスライサーで野菜を切る・・・もちろん、食卓に家族のお箸(はし)を用意してもらうだけでも立派なお手伝いです。
お手伝いをしてくれたら必ず「ありがとう」を伝えます。お手伝いをすること自体がお子さまの喜びにつながり、“お手伝いをした ”料理を食べることで食事がもっと楽しくなるはずです。
グツグツと煮える音や炒め物のにおい、フレッシュな果物をむく感触など、キッチンで五感を刺激する体験をたくさんさせてあげるとお子さまの食事への楽しみが増えていきます。(記事監修/管理栄養士 太田 百合子)