2018.03.22 | 育児
笑って子育て! お母さまのストレスマネジメント【第4回】
「遠くの親戚より近くの他人」と言うとおり、いざという時に「1時間だけ子どもを預かってもらえませんか?」とご近所に気軽に頼める人がいてくれたら子育てへの不安が軽減されそうです。
子育てをしていくうえで、欠くことのできないサポーターのつくり方について、育児学の専門家で、白梅学園大学学長の汐見稔幸(しおみ としゆき)さんに聞きました。
【第4回】子育てサポートづくり! のすすめ
Q.ご近所になんでも相談できて、ちょっとしたお願いを聞いてくれるような、子育てサポーターがいるといいな、と常々思っています。どうやってつくればよいものでしょうか。
近所にいて子育てで困った時に力になってくれる人の存在は、強い安心感につながります。
かつての日本には、ご近所同士での家族ぐるみのお付き合いが存在し、ワンオペ育児という言葉とは無縁だった時代もありました。私の子ども時代、さらには私が3人の子育てをしていた頃よりも地域の力は、弱くなってしまっているようです。しかし、そのことを嘆いていても始まりません。
サポートは欲しいと思っていてもすぐにできるものではありませんが、欲しいと思ったら、そのための行動にでる! これが重要です。
まずはサポーターづくりの準備を進めてみてはどうでしょう。
近所で子育ての応援団を作るために、ふだんからお付き合いを深めておくことが大事です。
日常的なあいさつはもちろん、たとえば「もらいものですけど、食べきれなくて」「作りすぎちゃったので、よかったら食べてください」といったお裾(すそ)分けができる昔ながらのご近所付き合いを実践して、距離を縮めて、親しくなっていくというはどうでしょうか。
こういったことがサポーターづくりの布石となると思います。
Q.まずは、ママ友と子どもを預け合える関係になるのが近道だ、と思うのですが、その際に配慮すべき点があったら教えてください。
「預かって」とお願いもするけれど、お願いもされるという預け合いの関係をつくるには、ふだんからその親子と過ごす時間をもっているとよいかもしれません。
「預け、預かり合う」のは、子どもたちにとっては、毎日の生活とは異なる体験をするチャンスです。社会性を養い、子どもが成長するきっかけにもなります。
預け、預かり合う時のポイントは、なにごとも謙虚な姿勢で臨むこと。期待しすぎず、頼りにしすぎず、スタートするのがよいようです。
また、地域の集まりなどにもお子さまと一緒に積極的に参加し、子どもを多くの人に紹介して、存在をアピールすることも大切です。すると、近所の人が外でお子さまを見かけた時に「○○さん家の○○ちゃんね」と名前で呼んでくれるようになります。
最終的には、お母さまがストレスで潰(つぶ)されそうになった時に、気軽に相談に乗ってもらえる間柄になることが理想です。
Q.「近所に、子どもも子育てしている人も、そして高齢者も安心して気楽に集まれる場があればいい」と言っているお母さまがいました。
私も大賛成です。
子ども好きな高齢者は多いのです。年長者なら、子育て経験の知恵を拝借することもでき、力強くサポートしてくれそうです。
日本はこれから本格的な超高齢社会に入ります。
孤独な高齢者をなくしていくことが課題になっていますので、元気なおばあさま、おじいさまの手を借りて、子育てができるとしたらそれこそが日本社会の理想です。
お子さまを見守ってもらえてお母さまは助かり、人生の先輩方も地域の子どもたちと交わることで元気をもらうことができます。
そういう社会を日本は再度つくり直さないといけないことは、誰もが認めています。
「おばあちゃんの作ったお料理を食べていってよ」「今日はおじいちゃんがおもちゃを手作りしてあげるね」といった世代を超えた交流が始まると、地域自体も活性化するでしょう。
お母さまから人生の先輩たちに「力を貸してください」と声をかけるのは敷居が高いかもしれませんが、子育て世代と、高齢者が未来を担う子どもたちのために協力するのは日本中の誰もが求めていることかもしれません。
必要だと思ったら、ぜひ先頭を切って行動を起こしてみてください。