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2019.02.20 | 健康

子どものアレルギー治療法、今どうなっているの?

【医師監修】アレルギーに負けない!
最新治療法+予防&症状軽減法を知ろう!【第1回】



2月20日は、公益財団法人日本アレルギー協会が制定した「アレルギーの日」です。その前後一週間は、アレルギー週間(2月17〜23日)となり、さまざまな活動が行われています。日本における子どものアレルギー疾患数は増加傾向にありますが、アレルギー治療は近年、薬の開発や、さまざまな研究によって次々に病態が解明され、症状の多くが軽減されつつあります。


アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支ぜんそくの発症メカニズムと最新の治療法、毎日の生活で取り入れられる予防や症状軽減に結びつく生活習慣などについて、小児アレルギーの専門医である国立成育医療研究センター総合アレルギー科の福家辰樹医長にお話を伺い、5回シリーズで解説します。


 

増加するアレルギーの背景にある都市化




子どもの疾患のなかでもアレルギーは、非常に増加しています。

アレルギーとは、特定の物質に対する免疫反応によって現れる、発作や湿疹などの過敏性反応のことです。

アレルギーの原因となるアレルゲン(抗原)が体内に侵入すると、本来は仲良くできるはずのものを “敵”だと誤解し、体から排除しようとしてアレルギー反応が現れます。

代表的なものが、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支ぜんそくなどです。最近は特に、食物アレルギーの相談が増えています。


アレルギーは比較的新しい病気です。気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎が現れ始めたのが、1960年代。食物アレルギーについていえば、1960年代にはほとんどありませんでした。

しかし、日本を含む先進国と呼ばれる国々や都市部では、この50年間で急増しています。そのことから増加要因は、都市化や衛生面の向上といった生活環境の変化などではないかと考えられています。


それを裏づける一例として、土に触れる機会がない近年の生活が、多くの人のアレルギーの引き金となっているのではないか、という信憑(しんぴょう)性の高い研究結果が発表されています。そういわれて周囲を見回してみると、今やアスファルトが土を覆い、土間や庭のある家も以前に比べ少なくなっていることに気づきませんか。


土は、実に多くの細菌・雑菌を含んでおり、その中には生きるのに欠かせない、病から体を守る免疫に関するものもたくさん存在しています。

乳児期には、土に触れることでそれらを取り込んでいるようなのです。残念ながら、土など私たちを取り巻く環境にある膨大な菌のうちどの菌が免疫力アップに寄与するのかは、まだわかっていません。ただ、無菌状態の部屋でネズミを飼うとアレルギー体質になるという事実は、生物が生きるうえでさまざまな細菌が関与していることを物語ると考えられます。



細菌がダイバーシティ化すると、免疫力が高まる!



企業の人事関係で頻繁に用いられる「ダイバーシティ」は、多様性という意味ですが、性質の異なるものが幅広く存在する状態をさしています。人間が生きていくうえで必要な細菌も、免疫系の疾患であるアレルギーへの抵抗力を高め、症状を軽減化させるためにダイバーシティであることが求められていることは、間違いありません。


免疫力というのは、漠然と「強い」とか「弱い」とかいえるものではなく、個々の生体が生まれ落ちてから発達過程のなかで育っていくものなのです。風邪などにしても、子どもは大人と違って細菌やウイルスに対する免疫力が弱いのですが、風邪を引くことで抗体を備え、徐々に免疫力を蓄えていきます。ですから、免疫力を高めるためにはある程度、細菌やウイルスを体に取り込むことが必要なのです。このことはアレルギーについても言えます。


患者に福音! 薬開発、新事実解明


アレルギーは近年、薬の開発や、新事実の発見などで病態が明らかになるなどして、治療ガイドラインの整備が進んでいます。その結果、早期に正しい方法で治療すると、ほとんど薬のいらない状況にまで改善する例も珍しくありません。


その代表例がぜんそくです。

オリンピックで2度の金メダルに輝いた、フィギュアスケートの羽生結弦選手は2歳から小児ぜんそくの治療を受けてきたことを公言しています。2018年パンパシフィック水泳で金メダルに輝いた、個人メドレーの大橋悠依選手(イトマン東進)も幼いときからアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支ぜんそくの症状を抱え、体を鍛えるために6歳で水泳を始めました。


ぜんそくだからといって、激しい運動を控えざるを得なかったのは昔の話。今は薬で症状を抑え、運動で体を鍛えることができる証しといえるのです。