2019.01.18 | 育児
子育ての悩みNo.1! 「上手な叱り方を教えてください」
お母さまたちの子育てお悩み相談室【第4回】
わが子に対して、「どうしてこんなことするの!? ダメじゃない」という思いにかられることも少なくないはず。 “どう叱れば、しっかりと伝わるか”という悩みにお答えします。(記事監修/恵泉女学園大学学長 大日向雅美)
Q.叱った後に、子どもがシュンとしていると、「厳しすぎたかな」と思うことがあります。叱るって難しいですね……。
たしかに「感情的」に叱るのはいけませんが、「感情を込めて」叱ることは自我に目覚め、かつ自己コントロール力がついてくる4歳ごろには、大切なことです。
絶対にやってはいけないことを子どもがしてしまった時は、たとえ公衆の面前でも毅然(きぜん)とした態度で叱ってください。
子どもはしてはいけないこと、公共心などを4歳くらいから小学校低学年くらいまでの間に、たくさん学習していきます。
語彙(ごい)が増えてきたとはいえ、言葉の理解力はまだまだ十分に発達していないので、優しく言葉で諭しても伝わりきらないことがあります。
表情、声、態度をフル稼働させ、理解させる必要があります。
時には大きな声で「ダメ!」と叱ることで、ママは、自分がしたことで「本当に怒っている」と感じ、「自分はいけないことをしてしまった。
同じ過ちを繰り返してはいけないんだ」と悟っていくのです。
一方で、「感情的な」叱り方は慎みたいものです。
感情が高ぶって手をあげてしまったり、言ってはいけないことを口にしたり、ほかの子と比べて叱ったり。
さらには「前も同じことをしたわね」「将来ろくな人間にならない」などと、過去にやったことを持ち出して将来を否定するのは、いずれも「感情的な」叱り方です。
Q.子どもに対し、いつも小言を並べている自分に気づくと、いやな気持ちになってしまいます。叱る時とそれ以外の時のメリハリをつけたいと思うのですが……。
大人でもそうですが、とかく情報処理能力が十分に発達していないこの年齢の子に「あれもダメ」「これもダメ」といつも叱ってばかりいると、その声はすべて頭の後ろをすり抜けていく背景の音となってしまうのです。これでは意味がないばかりか、お母さま自身も疲れてしまいますね。
私が、長女夫婦と孫が暮らすフランスを訪れた時のことです。
パリの交差点で、2、3歳くらいの男の子に“雷”を落としている父親を見かけました。子どもが道路に飛び出そうとしたようです。
その叱り方はすさまじく、どんな子だって怯(おび)えるほど。しかし、命の安全を教えようという親の真剣さが伝わってきました。
私の孫も父親に叱られたことが身に染み付いているようで、信号や車道の手前ではピタッと止まっていました。
Q.叱り方のコツがあったら教えてください。
たとえば、お友だちのものを取ってけんかになってしまった時など、「ダメでしょ」と言うまでに、「どうして取ったの?」と気持ちを聞いてあげたり、「おもちゃが欲しかったのね」と、子どもの気持ちを認めて代弁することも必要です。
その後に「でも、お友だちのものを取ったら、○○ちゃんも悲しいでしょ」と相手の気持ちに気づかせます。ここは優しく、しかし、しっかり言い聞かせて。
次に「そういう時は『貸して』って言うのよ」と自分の思いを表現する術(すべ)を教えることです。
その一方で、お母さまが相手の子に「ごめんなさいね」と謝りながら、おもちゃを返す姿を見せることも、モデリングといって、子どもにとっては良い模範となることでしょう。
叱るのは子どもが、何がいけなかったかを理解し、自分の行動をコントロールできるようになるためです。この年齢の子は自分で考えることがまだ十分にできません。
具体的にどうすればよかったのかを示すことも“叱る”一連の言葉の中にぜひ加えてください。
「『ごめんなさい』って言えるまで絶対に許さない」というお母さまがいらしたのですが、子どもはその場で「ごめんなさい」が言えないこともあります。
1回1回をきちんと治めることをあまり気にするのではなく、成長をゆっくり待つ姿勢の大切さも覚えていらしていただけたら、と思います。