2019.06.06 | 育児
2~3歳児とのコミュニケ―ション ~言葉の言い換えで語彙力を伸ばす~
子どものコミュニケーション力を育てる!【第3回】
3歳はあどけなさの残る2歳とは異なり、語彙(ごい)が増えコミュニケーション力が急激に伸びていきます。
この時期は日々の生活が言葉の学習の場となりますから、なるべく大人と話す機会をもつことが大事になってきます。
(記事監修/東京学芸大学教授 松井智子)
毎日、言葉に関するさまざまなことを学び始める1歳半
子どもは1歳半ぐらいになると、他者と言葉を使って意思疎通を図る コミュニケーションデビューに備え単語の吸収力が飛躍的に伸びていきます。
そのころから、日常生活すべてが語彙や日常の慣習を獲得するための学習の場となります。
2歳ぐらいだと発するのはまだまだ片言です。
しかし、相手の喜び、悲しみ、怒り、恐れといった感情や好き嫌いといった好みがわかってきます。
2歳児は口で表現するよりずっと多くのことを心の中で理解しているのです。
3歳になると2歳の頃の幼さはすっかり陰を潜め、言葉が豊富になってきます。
心に浮かんだことを行動に移そうとして、困っている人を助けようとしたり、泣いている人をなぐさめたり、正義のヒーローが大好きで悪いことをした人を叱ったりもするのです。
「ぼくのママなんだから、ちゃんとここにいて!」と自分の要望をお願いとして伝えるようになって、親子の会話もだんだんと活発化してきます。
とは言いつつも、「お友だちと楽しくおしゃべりしているわ」と思って耳をそばだてると、言葉のやりとりではなく、ほぼ独り言だったりするのです。
3歳児にとって、他者はまだまだ見えづらいもの。
物事が見えるのは自分の視点からだけで、相手にわかるように伝えることの大切さに気づくのはもう少し時間が必要です。
「しっぽフリフリ」を「しっぽ振っているね」に言い換えて語彙力アップ!
言葉をしゃべり始めた2歳児の親御さんが、子どもの言葉をそのまま復唱する姿をよく目にします。
そうすると子どもが安心した表情が浮かべるからなのでしょうが、この時、子どもの言葉を繰り返しながら、言い間違いを正したり、言葉を言い換えたりするのがお勧めです。
例えば、子どもが「猫ちゃん、しっぽフリフリしてる!」と言った後、「そうね。猫ちゃん、しっぽフリフリしてるね」という繰り返しと「しっぽ、振ってるね」という言い換えを組み合わせて応じる。そうやって子どもの語彙を増やしていくことができます。
大人との会話が学びの場
子どもたちは、日常の生活での大人たちとの会話を中心にコミュニケーションを学んでいきます。
学びのチャンスを増やすためにも、子どもとの会話の機会をなるべく多く設けることが理想になってきそうです。
私自身の経験ですが。
ある連休に、両親に息子を預けたところ、戻ってきた息子の言語力が格段に進歩していたのに驚きました。
おじいちゃん、おばあちゃんはずっと孫のおしゃべりに付き合ってくれたようで、おしゃべりの場数を踏むことの大切さをあらためて実感しました。
そうはいっても、人それぞれ事情を抱えているもの。
私自身は、仕事などもあり子どもと常に一緒にいることはできませんでした。
時間が取れない分、質を重視し、子どもと向き合って話をする時間を毎日必ず取るようにしました。
その時には、目と目を合わせて、しっかりと話すことを心がけたのです。
小学校入学前までは、じっくり話を聞いてくれる大人が子どもの身近に一人でもいるのが望ましいと思っています。
力を貸してくれる、おじいちゃんやおばあちゃんや近所の人、ママ友などを見つけておくことをぜひお勧めしたいです。