2017.11.09 | 健康
お子さまの成長と健康をサポートする毎日の「睡眠」を大切に 【第4回】
私たちの体は、100以上のホルモンの働きによって保たれています。ホルモンの中でも、眠っている時に多く分泌される「成長ホルモン」は、お子さまの成長に欠かせないものです。ホルモンは、いったいどんな役割を担っているのでしょうか?
第4回目は、眠りと深い関係のあるさまざまなホルモンのお話です。(前回の内容はこちら)
【第4回】お子さまの体づくりに欠かせないホルモンとは?
最初の深い眠りの時に多量に分泌される「成長ホルモン」
ホルモンと聞いて、どんな名前が思い浮かぶでしょうか。よく知られるエストロゲンなどの「女性ホルモン」、糖尿病とかかわりの深い「インスリン」など100種類以上のホルモンの働きにより、私たちの体は一定の状態に保たれています。ホルモンは脳下垂体や副腎、すい臓、甲状腺などの内分泌腺でつくられ、血液などを介して特定の臓器に送られさまざまな働きをしています。
その中で、睡眠とかかわりの深いホルモンといえば、真っ先に「成長ホルモン」が挙げられるでしょう。
骨を伸ばし、筋肉の発達にかかわる成長ホルモンは、お子さまの成長には欠かせません。思春期前後がピークですが大人になってからも分泌され続け、アンチエイジングや代謝を促すといった働きをします。
この成長ホルモンは、寝入ってから最初の深い眠りの時に一番多く分泌されることがわかっています。ただ、睡眠不足によって体調不良になった時に本来の働きを十分に発揮できているかは解明されていません。
なお、夜食をとると成長ホルモンの分泌が抑えられてしまうので、特にお子さまの夜食は避けたほうがいいかもしれません。
眠りを誘うメラトニンの分泌を促すには
「睡眠ホルモン」とも言われる「メラトニン」は、朝目覚めてから14〜16時間後に分泌が始まるホルモンで、生体時計(体内時計)に作用し自然な眠気をもたらします。ほかに抗酸化作用、性腺抑制作用があります。
メラトニンは周囲が明るいと分泌が抑えられるという特徴があり、睡眠を妨げる夜の光は大敵です。また、昼間にたくさん光を浴びると多量に出ることがわかっています。
ですからお子さまには、昼の間にたっぷり光を浴びさせ、床に就く1〜2時間前には照明を暗くするなどの工夫をすると、眠りにつきやすくなるでしょう。
脳神経の伝達をスムーズにするセロトニンと幸せホルモン・オキシトシン
朝の光と深い関係があり、お子さまの脳の発育を促す神経伝達物質「セロトニン」は、心とも関連する物質です。
セロトニンは脳内の神経活動の微妙なバランスを保つという働きがあります。夜更かしや朝寝坊の生活習慣がついてしまうと慢性的な時差ぼけ状態に陥り、昼間の活動量が低下します。するとセロトニンの分泌が減少し、イライラしたり攻撃的になったりするおそれがあるのです。
お子さまのセロトニンの分泌を通常に保つには、たっぷりの睡眠が最も効果的なようです。
また、「幸せホルモン」という別名もある「オキシトシン」というホルモンは、自律神経を整え入眠に誘う作用がありますが、さらにセロトニンの分泌を促す作用もあります。出産や授乳に関わりのあるホルモンですが、ストレスコントロールや癒し効果が男性からも注目されています。
抱っこやおんぶ、ハグなどで分泌が高まるとも言われていますから、お子さまとのスキンシップを密にするといいかもしれません。(記事監修/東京ベイ・浦安市川医療センターCEO 神山潤)