2020.12.07 | 健康
今だから知りたい免疫と運動の関係《第2回》

感染症対策に対する関心が高まっている今だから知りたい免疫と運動の関係について、明治大学 経営学部公共経営学科 鈴井 正敏 教授 にご監修いただきました。
「免疫機能の仕組みと働き」から「運動が免疫機能に与える効果と影響」までを、全8回に渡って紹介します。(前回のテーマは、 こちら 。 )
第2回は、『わたしたちの体を守る免疫細胞』で免疫細胞の種類や役割を説明します。
目次
1.免疫機能の仕組みと働き
《第2回》わたしたちの体を守る免疫細胞 ※今回のテーマ
2.運動による免疫機能の向上
3.まとめ
免疫で重要な役割を果たしているのが、血液の白血球です。
白血球の中にさまざまな種類の免疫細胞があります。以下にその種類を紹介します。
単球
①マクロファージ
貪食細胞(どんしょくさいぼう)。抗原を食べて、処理します。
②樹状細胞
異物の情報を抗原として認識し、リンパ球(ヘルパーT細胞)に伝達します。
※マクロファージや樹状細胞は貪食細胞として抗原を食べるだけでなく、その一部を表面に出して、ヘルパーT細胞にどんな抗原が入ってきたかを知らせる(抗原提示)、門番の役割をしています。

顆粒球
①好中球
貪食細胞。病原菌を食べたり、活性酸素を使って殺菌します。血液中で最も多い白血球です。
②好酸球
貪食細胞。アレルギーや寄生虫感染の時に増殖します。
③好塩基球
特定の抗原に会うとヒスタミンなどが放出されアレルギー反応を引き起こすとされています。
免疫機能があるとされているが、十分に解明されていません。「好中球」「好酸球」を問題部位に呼び寄せる物質を作ります。
リンパ球
①T細胞
1)ヘルパーT細胞
抗原の情報を受けとり、B細胞やキラーT細胞の発現を促進します。白血球の司令官です。
2)キラーT細胞
抗原によって感染してしまった細胞を攻撃し破壊します。
3)メモリーT細胞
一度侵入した抗原の情報を数十年に渡って記録し続けることで、抗原の次の侵入に備えます。
4)制御性T細胞
白血球が暴れすぎないように調整します。

②B細胞
1)B細胞
抗原に対して抗体を作り戦います。
2)メモリーB細胞
メモリーT細胞と同じように抗原を記憶して、次に侵入があった場合にすぐに抗体を作ることができます。
③NK細胞
抗原情報がなくても、細菌やウイルス、変性した細胞を破壊します。
第3回は、『免疫細胞が細菌やウイルスと戦う仕組み』について紹介します。続きは こちら 。
監修者のプロフィール
鈴井 正敏、博士(医学)
明治大学 経営学部公共経営学科 教授
筑波大学大学院修士課程体育研究科 修了
研究テーマ
健康科学、運動とNK細胞
主な著書・論文
[1]「運動器慢性疾患に対する運動療法」 黒澤尚編,第1章 基礎編 「6. 運動と免疫」,金原書店,2009/09.
[2]Natural killer cell lytic activity and CD56dim and CD56bright cell distributions during and after intensive training. JAP, 96(6), 2167-2173, 2004/06.
[3]「スポーツ医学II-健康と運動-」池上晴夫著,第9章「免疫機能と運動」,2000/01.