2018.01.18 | 健康
【医師監修】子どもの風邪は症状を見て上手な対処法を知る 連載スタート!
気温が下がり、乾燥を実感するころから本格的な風邪のシーズンに突入します。今回は、お子さまの病気として最も身近な風邪について、インフルエンザも含めて、予防策やかかってしまったときの対処策を5回シリーズでお伝えします。
第1回目は、風邪の原因とその症状について説明していきます。
【第1回】
風邪ってどうして引くの? お子さまの抵抗力を高めていく風邪とその症状
冬の風邪は、乾燥と冷たいところが大好き
寒さが一層厳しくなる頃、あちらこちらでお子さまたちの風邪の症状が見られるようになります。
風邪の病原体となるウイルスは200〜300種類存在するともいわれ、1年中活動しています。冬は特に、冷気や乾燥を好むウイルスが活発化します。ウイルスは、風邪を引いている人のくしゃみやせきなどで空中に飛び散り、それを別の人が吸い込み、鼻や喉などの粘膜について感染すると、炎症が生じ風邪を引くのです。
風邪の症状は、
・熱がでる
・鼻水がでる・鼻詰まりになる
・せきがでる
・喉が痛い
・元気がない
・食欲がない
・下痢をする
などがあり、ウイルスの種類や炎症の部位によって異なってきます。症状がでてから4日ほどはつらいことが多く、熱が引いても鼻水やせきは依然続きます。それでもだいたいは、1週間ぐらいで回復していきます。
一方、インフルエンザは、風邪と同じ症状もあらわれますが、強い感染力をもち、39度前後の高熱がでて倦怠感といった全体症状を伴うのが特徴です。風邪とは別の病気として括られています。
風邪が抵抗力を育む
お母さま、お父さまにしてみれば、つらそうなお子さまを見るのは、心配ですね。できれば風邪などはかかってほしくないもの。しかし、風邪にかからないほうがいいと、一概には言えないのです。
お子さまは大人と違ってウイルスに対する免疫力が十分に備わっていないため、風邪を引くことで抗体を備え、免疫力や抵抗力を徐々に高めていくのです。また、あるウイルスに感染して抗体を保持しても、異なるウイルスに接すると感染するおそれがあるため、子どものうちは何度も繰り返しかかります。
そう考えると風邪は、お子さまの成長にとって不可欠なものといえます。
ですから、「あんなに気をつけていたのに、風邪を引かせてしまった」と力を落とすのではなく、「新しい抗体を得て、またひとつ丈夫になっていく」ととらえられると、いいかもしれません。
ノロ・ロタ おなかにくる風邪も冬に流行
この時期は風邪やインフルエンザ以外にもノロウイルスやロタウイルスが流行します。
ノロウイルスやロタウイルスは、嘔吐や下痢を伴う胃腸炎ですが、ウイルス感染であり、発熱を伴うこともあることから“おなかの風邪”と呼ばれます。
ノロウイルスもロタウイルスも、下痢や吐しゃ物の中に存在するウイルスが手などにつき、そこから口に入る経口感染でおこります。感染したウイルスは、腸管に入り、腸を荒らして嘔吐や、下痢を生じさせるのです。感染力が強く、お子さまがかかると看病をしていた大人にもうつることが珍しくありません。
予防は、手洗いを徹底すること。風邪の予防に力を発揮するアルコール消毒は効きません。殺菌効果があるのは、台所で使う漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムで、下痢や嘔吐物の処理の際に用います。
自然に治る病気なので軽ければ自宅で様子を見ても心配ありません。しかし、下痢や嘔吐がひどく、それに伴って脱水症状がでてくるようなら、病院を受診してください。
(記事監修/愛育クリニック 小児科部長 澁谷 紀子)