2020.12.04 | 健康
今だから知りたい免疫と運動の関係《第6回》

感染症対策に対する関心が高まっている今だから知りたい免疫と運動の関係について、明治大学 経営学部公共経営学科 鈴井 正敏 教授 にご監修いただきました。
「免疫機能の仕組みと働き」から「運動が免疫機能に与える効果と影響」までを、全8回に渡って紹介します。
第6回は、『運動が免疫機能に与える効果と影響 ~後半~』では、運動による免疫機能の向上に関する研究報告をさらに見ていきましょう。
(前半は、こちら をチェック。)
目次
1.免疫機能の仕組みと働き
2.運動による免疫機能の向上
《第6回》運動が免疫機能に与える効果と影響~後半~ ※今回のテーマ
3.まとめ
運動が免疫機能に与える効果と影響 ~後半~
強い運動では血液中の白血球は激しく増減します。運動後にリンパ球は一時的に安静レベルを下回ることがありますが、すぐに回復します。(図の左側)
運動強度が低~中程度の運動(有酸素運動)は免疫機能が安定的な状態を保つことがわかっています。
このような運動の刺激は細胞のターンオーバー(新しい細胞と古い細胞の入れ替わり)を生み、適切な休養と合わせて免疫機能を維持すると考えられています。(図の右側)
しかしながら、アスリートが特に強い運動を継続して行う合宿などで疲れがたまってしまうときには、新しく生まれた免疫細胞が育つ時間が足りずに、免疫機能が落ちてしまうことがあります。

運動量や強度によって、運動は「両刃の剣」となります。
鍛錬を重ねているアスリートはかぜとは無縁というイメージがありますが、オーバートレーニングによって疲労がたまり免疫機能が低下する場合もあります。
日常から意識的に体調管理に取り組んでいくことが大切です。

第7回は、『水泳の特徴と免疫への効果』について紹介します。
続きは こちら 。
監修者のプロフィール
鈴井 正敏、博士(医学)
明治大学 経営学部公共経営学科 教授
筑波大学大学院修士課程体育研究科 修了
研究テーマ
健康科学、運動とNK細胞
主な著書・論文
[1]「運動器慢性疾患に対する運動療法」 黒澤尚編,第1章 基礎編 「6. 運動と免疫」,金原書店,2009/09.
[2]Natural killer cell lytic activity and CD56dim and CD56bright cell distributions during and after intensive training. JAP, 96(6), 2167-2173, 2004/06.
[3]「スポーツ医学II-健康と運動-」池上晴夫著,第9章「免疫機能と運動」,2000/01.